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「温暖化」が人類全体の問題となり、その対策が頻繁に協議されて久しい。しかし、温暖化には地球温暖化と都市温暖化のふたつがある。このことはあまり知られていない。同じ「温暖化」といっても原因が異なり、対策も違う。

それぞれの温暖化の原因を究明し、適切な対策を探る研究室が東京工業大学にある。国際開発
工学専攻の神田学教授の研究室だ。神田研究室では全地球を網羅する30秒メッシュ(約1㎞)
の人口動態データ『LandScan』データを用いて、都市の人工排出熱を探査し研究をすすめている。

2つの温暖化

気候変動の中で最も注視されているのが「温暖化」だ。この温暖化には地球温暖化と都市温暖化の2つがあり、それぞれ原因も異なり、対策も違ってくる。地球温暖化では1世紀で0.6~0.7度気温が上昇するといわれており、対して都市温暖化では東京をモデルにした場合に1世紀で2~3度上昇するといわれている。ここには最大で2度以上の大きな開きがあることがわかる。

地球温暖化と都市温暖化の原因と対策

地球温暖化の原因は主に温暖化ガスで、そのうち特にCO2の排出が問題だとされている。一方で都市温暖化の原因は、人工熱の排出や蒸発熱の減少、建築物の凹凸の多さなどが重なって起きるとされている。
対策は地球温暖化では地球全体でCO2を減らす緩和策が講じられ、都市温暖化では地域ごとに植樹や省エネなどの措置が有効とされている。

新興国を中心に拡大する都市圏

東京でも周辺の衛星都市の膨張を核に、都市圏の拡大がとまらない。しかし、新興国といわれるアジアなどでは、日本の都市膨張とは比較にならない速度、規模で都市圏が拡大している。たとえばインドネシアのジャカルタなどは、40年前には都市域は20キロ四方程度だったものが、現在では100キロ四方レベルに膨張している。その膨張に比例して、都市の人工排出熱も比例して膨大なものとなるだろう。

都市の人工排出熱を探る

地球温暖化では政府間で協議し、その緩和策をCO2排出を下げることで対策を進めてきた。しかしながら、都市の排出熱はいままでは考慮されてこなかった。生活圏である都市域からの排出熱が高いことは、不快な生活が強いられることもさることながら、その熱エネルギーが気候変動に及ぼす影響力も膨大なものになる。
神田研究室では地球規模で都市の人工排出熱を導き出すひとつの手段として、夜間光データと30秒メッシュ(約1㎞)の人口動態データ『LandScan』データを合わせて用いている。これらにさらに都市ごとの建造物の高さデータなどを合わせ高度な解析を進めようとしている。

30-Arc-Second-Average-Anthropogenic-Heat-2013

神田教授の研究のひとつ
(30 Arc-Second Average Anthropogenic Heat 2013)

人口増加の著しいジャカルタの様子(Landsat-derived urban growth in Jakarta)

Jakarta19721972年

 

Jakarta19941994年

 

Jakarta20012001年

 

Jakarta20142014年